mercredi 21 décembre 2005 11:46
悪夢の2日間~第二夜 ラファイエット編~
catégorie: 12月のおパリ
しかし会計の際、さめっこさんがカードで払おうとすると、レジのおじさんは何回か試したあと、「このカードは使えないから、別のにして」と言ってきた。
一気に焦るさめっこさん。その場はとにかく、わたしのカードで払うことにした。
さめっこさんのカードが使えない。現金ももうない。
おまけに彼女は暗証番号を忘れていて、キャッシングもできない。
これがハプニングⅢ、「さめっこ、ある意味カード地獄」の始まりである。
食事後、まずはカード会社のホットラインに電話することにした。
しかし巨大なラファイエットの中のこと、電話の場所もなかなかみつからない。
今の時期だけなのか、紫色の貴族チックな衣装のハンサムなお兄さんたちが、店内をうろうろしている。
そのうちの一人に電話の場所を尋ねると、「えー、わかんない」と言って、アパレルやさんのお姉さんに聞きに行った。
お姉さんが「6階にあるわよ」と教えてくれると、ハンサムさんは「6階だって、この上だよ」と、オウム返しのように言った。
メルシーと言って足早に6階に上ったけど、あの人、何のためにここにいるの??
電話をかけると、どうにもつながらない。
フランスにある機械は、たいてい壊れてることが多い。この電話も壊れてたのかもしれない。
そうこうするうちにわたしのプリペイドカードがなくなってしまい、小銭ではかけられないので、立ち往生することになった。
「もう、日本人カウンターに行こう!」
そう言って0階まで降り、免税手続きをする日本人カウンターに泣きついた。
懐かしい日本語で話すお姉さんは、カード会社に電話をしてくれ、さめっこさんが代わって詳しく話をした。
さめっこさん、すっかり仕事口調になっている。
カード会社の調べによると、案の定、使用に問題はないことがわかった。
そしてついでに暗証番号も尋ねて、折り返し電話をもらい、さめっこさんは見事ナンバーを手に入れた。
ぶわぁぁぁ疲れたぁぁぁ。
フランスはカード社会だ。
しかし正確には、「ということになっている」と付け加えた方がいい気がする。
あらゆるところでカード払いができることになっているが、その実は結構、「読み取り機が壊れてる」「いま、カード払い用窓口閉まってるから(じゃぁ開けろよ! と、いつも思う)」「そんな気分じゃない」などの理由で使えないことも多い。
さらには、VISAだろうがMasterだろうが、Amexはどうか知らんが、ちょっと見慣れないカードだと(たとえば、日本の会社が発行しててVISAがついてるカードとか)、たちまちパニックになって、どっちの方向にカードを通せばいいのか、わからなくなるようだ。
たぶんさっきのLINA'Sのおじさんも、もしかしたら昨日の宅配やさんのお兄さんも、反対方向に通してたのかもしれない。
あーもう、この2日間で、あらゆる角度からフランス人の国民性を思い知らされている。
時計を見ると、もう16時は過ぎてたかもしれない。
一日お買い物デーだったはずなのに、まだ一つも買い物なんてできてやしない。
しかも昨日のことがあったので、今日はさっさと買い物だけして、夕飯を買って早めにホテルに戻るつもりだった。
この2日間でぐったり疲れた2人。
今までは順調だったのに、どうしてこんなことに…。
でも、さめっこさんは明日にはパリを経つ。
最後にこんな思いだけして帰るのは、絶対、いくない!
「買い物しよう! 全力で買っていいよ!」と言って、わたしたちは買い物に繰り出した。
さめっこさんが今日行きたかったのは、ラファイエット内のプチ・バトーと、日本未入荷の激安店H&M、そして5年前にも2人で行った、セント・ジェームスだった。
時間がないのでプチ・バトーは諦め、すぐ隣りのH&Mで買い物する。
中では個人行動で、ときどき遭遇しては近況報告。
5年前、セント・ジェームスではお揃いのボーダーを買ったが、今回はここでお揃いのブルーのセーターを買った。
いや、お揃いがいいわけじゃないんだけど、趣味がかぶってるんだよね。
思えば、わたしたちは食の趣味も合っていたから、いつもおいしく食事ができた。
あんなに毎日オリーブが食べられたのは、初めてだったよ(だいちゃんがオリーブ嫌いなので)。
わたしは、当然この時点まであの汚れたコートを着ていたから、新しいコートを買わなくちゃいけなかった。どうせ保険もおりるし。
しかし、わたしも相当ストレスが溜まっていたので、コート売り場まで行く間に寄り道しまくって、「祭りだ祭りだ!」と言わんばかりに、ガスガス買っていった。
肝心のコートを買う頃には疲れて暑くて(店内はすごい人なのだ)、結局、そのへんに脱ぎ捨ててあった深緑色のコートを買うことにした。
ここの服は割と大きな作りで、このコートも34(XS)だけど、大きいくらいだった。
プチサイズの日本人は、なかなかサイズをみつけにくいけど、ここでは結構みつかる。
しかもコートは1万、その他トップスを7枚くらい買って、しめて3万くらい。
可愛いのに良心的な、ユニクロ価格がうれしい。
ま、安かろう悪かろう的なとこはあるけど(縫いが甘いとか)。
H&Mを出て、すでに17時過ぎ。
セント・ジェームスまではメトロで行かなくちゃいけない。お店はたぶん、19時か19時半までだろう。
さめっこさんは、諦めかかっている。
でも、買いたいものは買わなくちゃ! 最後にちゃんと楽しい思いしなくちゃ!
そう自分たちを奮い立たせ、タクって店の前へつける。
まだ18時前。何とか買える!
お店に入ると、さめっこさんは即決で2枚買った。
5年前にもいたマダムが(たぶんパトロンヌなんだろな)、機嫌よく接客してくれた。
わたしも自分用と、だいちゃん用に1枚ずつ買った。
おまけに飴をくれた。

かわいい。
念願の買い物ができて満足し、ついでに同じレンヌ通りのモノプリでさめっこさんのお土産や、夕飯を買い込む。
このあたりは暗くなっても人通りが多いし、しかもちゃんとした人たちだ。
こういう言い方は何だなーとは思うけど、これが現実だ。
ついこの間まで滞在してたアパルトマンにも近い。
やっぱり、あのへんはいいとこなんだなー。
荷物が多いし昨日のこともあるので、タクシーでホテル前まで。
「いやー買い物って楽しいね!」とウキウキしつつ、いやこの緩みが危ないんだと気を引き締めつつ、部屋へと戻った。
今日、手に入れたもの。
コート、H&Mで乱れ買いしたもの


セント・ジェームスと、モノプリの子供用ブラとパンツ(オレのサイズはフランス人の12歳サイズー、しかもこんな白いパンツはくの、小学校んときのグンゼ以来)


被害届、レントゲン(見事に小指の第二関節が成長を止めてるのがわかる)

この日の夜は、さめっこさんはグーグー気持ちよさそうに寝ていた。
わたしはまた少し思い出して怖くなったりしたけど、昨晩よりは寝られた気がする。
この2日間で、人生の中で一番フランス語を喋った。上達した気がする。
人は追い込まれると、立ち向かうもんだねぇ。
そして本当に、やっとこの、いろいろあった2日間が終わった。
Commentaires