mercredi 21 décembre 2005 11:38
悪夢の2日間~第二夜 再びL'hopital Americain編~
catégorie: 12月のおパリ
部屋へ戻ってトイレに入ってると、電話が鳴った。
もうしんどい、さめっこさんに任す、と存分にトイレに長居する。
さめっこさんが日本語で話している。よかった、保険会社みたいだ。
トイレから出ると、「岡田先生は内科が専門なのでケガは診れない、救急外来に行ってほしいが、連絡がつかなくFAXだけ送っておくので、好きな時間に行ってください」とのことだった。
なら早いほうがいい、と早速Porte Maillotへ、そこからタクシーで病院まで。
救急外来の場所がわかりにくく、またあちこちで尋ねながらたどり着く。
「タニグチと申しますが、FAX来てると思うんですけど」と言って、めんどくさいのですぐに主治医の診断書を出した。
受付のおばさんはパーフェクトパーフェクト言いながら、また書類を書かされた。
昨日、今日でいったい何回目だ、同じこと書くの…すっかりホテルの住所を覚えてしまった。
パスポートを見せてというので渡すと、「あら、結婚してるのね」と言われた。
どうしても、どうしてもわしをマダムとは認めてくれないんですね、この国は…!
そして、手首にこんなもんを付けられる。

だーかーらー!
誕生日間違ってるよ! 10日じゃなくて15日だから! なんでいちいち微妙に間違えるんだ!
でも、もういろいろめんどくさいので、黙っていることにする。
さめっこさんを待合室で待たせ、わたしは小部屋へ。
ごっついおばさんに血圧を測られ、舌を見られる。
彼女もそうだが、よく親切で英語で話してくれる方々がいるんだが、すんません、フランス語よりよっぽど英語のほうがわかんないんです…。
そしてまた別の、少し広い部屋へ連れて行かれ、ドクトゥールを待てと言われる。
現れた医師は、陽気な白髪のムッシューだった。
わたしの右手を少し触り、警察の被害届を見せると「なるほど!」と話が早かったようで、まずは「レントゲンを撮りに下に降りて」と言われた。
素直に階下のレントゲン撮影室へ。

待合室でまたもや待たされる。あまりに眠くて、舟を漕いでいた。
やっと「マダーム、タニグーチ」と呼ばれ(初マダムだ!)、レントゲン室へ入る。
レントゲン技師のおばさんは、ニコッと笑って両手でわたしの右手を取り、無理やり撮影体勢を作って、レントゲンを撮った。
痛いのに…しかも2回も…。
撮影が終わると、また待合室で舟を漕ぐ。
再び「マダーム、タニグーチ」と呼ばれ、巨大なレントゲン写真の入った封筒を持たされ、また上へ上がれと言う。
行ったりきたりでやんなっちゃうなぁ、と思いながら救急外来の待合室前を通ると、さめっこさんが待ち疲れている。
ごめんね、もうちょっとみたいだから、と言って受付へ戻ると、また別の部屋で待てと言う。
この部屋での待ち時間が一番長かった…もうすっかり正午をまわっていた。
暇なので、証拠写真を撮ってみる。

うむ、昨日より数段いい色づきになっている。
腹減った、眠い、もういい、帰りたい。
そう思いながら時計を見ると、13時ぴったり。
あのアルチュール医師が現れた。
13時ぴったりって!
さてはお前、メシ食ってたな!!
患者待たせてメシ食うのか、この国の医者は!
…いや、いやいやいや。
やりそうなことだ。わかってた、わかってたよ、そんなこと…。
ふと、いつも忙しそうにしていて、いつお昼を食べてるのか不思議なくらい働き者の、主治医の顔が浮かんだ。
センセー、お元気ですか。わたしは結構しんどい目に遭っています。先生が書いてくれた診断書、思いがけずに大活躍です。
さて、お腹が膨らんでご機嫌なアルチュール先生は、わたしのレントゲンを見ると、「うむ、問題なし! 骨は折れてないから、帰っていいよ」と言った。
バカヤロー! そんなこと本人が一番わかってるわぁー!
折れたりヒビが入ってたら、腫れがこんなもんじゃすまんだろーがぁぁぁ!
アルチュール先生はいそいそと部屋を出て歩いてゆく。
その後を追うわたしに、「ひと月に一人は日本人が来るよ。みんなデジカメを盗られるんだ。キミは未遂でよかったよね」と言いながら。
そして救急外来の前まで来ると、「じゃ、ありがとう、お大事に!」と言って、ギュギュギュゥと力強い握手をしてきた。
フンギャァーいてーーーーー!
医者のくせに医者のくせに医者のくせに。そんなことわからんのかぁ!
思わず改めて左手で握手をして、決闘を申し込もうかと思った。
結局、わたしは何の手当ても受けず、そのまま帰ることに。
言いたいことがたくさんある。
1.今、今まさに痛いから、ちょっと消毒して湿布でも貼ってくれるだけでよかったのに!
2.結局フランス人医師に見せるなら、市内のもっと近い病院にすればよかった!
3.こんな待たされる救急外来、死人続出しないのか!?
エントランスへと向かう途中、食堂へと続く人だかりができていた。職員の列だ。
日本の病院なら職員用の食堂なんて、患者に見えないところにあるのに…。
何をおいても、まずはメシなんだね、キミらは…。
今日は本当は一日お買い物デーにする予定だった。
しかしすでに、14時近い。何のためにこんなとこまで来たんだ…。
再び保険を利用してタクシーでGalerie LaFayette(デパート)前まで。
もちろん、領収書はしっかり取ってある。
そしてこのラファイエットで、ハプニングⅢが起こる…。
つづく
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