mercredi 21 décembre 2005 11:23
悪夢の2日間~第一夜 長い長い夜・宅配やさん編~
catégorie: 12月のおパリ
ホテルに戻って、まず最初にすること。
再び保険会社に連絡して、病院の手続きと、コートなど被害があったものの保険適用の申請をすることだった。

この壁掛けの電話を使う。
すると、かからない。
はぁ~!? もう、何で今日は何もかも上手くいかないの!?
何度試しても外線がかからない。
ステキなプチホテル感を味わいたかったので気づかないフリをしていたが、実はこの部屋、バスルームのドアも閉まらなければ、クローゼットのドアも閉まらない。さらに金庫も壊れて閉まらない。
何とかレセプションにはつながったので、「電話壊れてるよ!」と言うと、「わかった、2分待ってて」と言う。
フランス人はいつも「2分待って」と言う。
しかしそれは、「30分以上は待て」というのと、同義語なのだ!!
案の定、ぐだぐだになりながら部屋でじっと待ち、やっとレセプションから連絡が来て、「どうぞー」と言われた。配線がぶっ壊れてたみたいすね…くそぅ、プチホテルめ。
保険会社に電話すると、コート類は保険が下りるので証拠写真を撮っておいてほしいこと、ケガのほうは別の番号にかけてほしいことを告げられた。
ケガのほうの番号にかけると、またキャッシュレスで診療するなら、明日の診察時間が始まってから予約を入れるとのことだった。
じゃー、もうほんと、頼んます、みたいな感じで電話を切った。
コートの被害はこんなもん。


よく見たらパンツも汚れて、穴が開いていた。

手の被害はこんなところ。ちょっとわかりにくいが、結構腫れていて、グーができなかった。

とりあえずひと段落ついたので、さめっこさんにはゆっくりお風呂に入ってもらって、だいちゃんに電話で経過を話した。
怒られるかなーと思ったけど、笑ってた。苦笑いだが…。
さめっこさんがお風呂を出ると、すでに23時を過ぎている。
しかし夕飯がまだだった。わたしはヘルペスの薬を飲まなくちゃいけないので、何かお腹に入れないといけない。
右手も痛いが、左のほっぺもぱんぱんに赤く腫れて、ただれている。
もうルームサービスしかないので、メニューを見ると、それはルームサービスじゃなくて、夜間専門の宅配やさんだった。
プチすぎてホテルでは用意できないから、委託してるようだった。
電話をかけると、息の荒いおじさんが出る。
注文をして住所と電話番号などを伝えると、彼は繰り返すたびにハァハァ言っている。
「13番地…ハァハァ、マルソリエ通り…ハァハァ」みたいに。
エロい感じじゃなくて、デブだから息が漏れちゃうって感じだった。
電話を終え、届くまでに最大で45分かかるとのことだったので、どうせそれ以上かかるだろうと、わたしもお風呂に入ろうとした。
すると、突然電話がかかってきた。
あぁぁ、もうやだ、今度は何だ?
と思ったら、さっきの宅配やさんの、別の女の人だった。
さっきのおっさんは間違えてて、注文はミニマムで15ユーロからお願いします、と言われた。
くそー、またフランス人に振り回されてる!!
もう食えれば何でもよかったので、デザートを2つ追加注文して電話を切った。
風呂に入る前か後だったか、もう覚えてない。
ドアベルが鳴った。
きっと宅配やさんだろうけど、すっかりびびりまくってたわたしたち。
恐る恐るドアを開けると、黒人の背の高いお兄さんが立っていた。宅配やさんだった。
「ボンソワ、メダム。宅配屋です」
深夜なので、静かに優しく話すお兄さん。
正直言うと、黒人の人は普段見慣れてないし、商魂たくましかったり、危険な人が多いイメージで、何となく怖い気もする。
でも彼は、とっても紳士的だった。
まずは袋の中身が注文と合ってるかを確認してと言われ、OKだったのでカードで払おうとすると、やっぱり読み取り機がCa ne marche pas(故障中、っていうか、単に上手くいかないだけでも、みんなこう言う).
お兄さんは何度かチャレンジして、ダメだとわかると携帯でお店に電話して聞いていた。
あぁ、メシが目の前にあるのに、すんなり食えないなんて…。
お兄さんは電話しながら、「ごめんなさい、ほんとごめんなさい」と言いつつ、機械をあれこれいじっていたが、埒が明かないのでキャッシュで払うことにする。
今、2人とも現金をあまり持ってなかったので、カードで払おうと思ったのに…。
何とか2人ぶんかき集めて、間に合った。
お兄さんは優しく「ボンヌ・ソワレー(よい晩をー)」と言って帰っていった。
その努力の結果が、こんなメニューです。

レセプションにフォークとスプーンを借りて、遅い遅い夜ご飯。
さもしい食事だ…いや、おいしかったけどさ。
そしてヘルペスの薬を飲むとすぐに痛みが消え、翌日にはここまで回復した。

こっち来てから、なぜか毛穴が開きっぱなしだ。
今日はいったい何だったんだ…。
たった数時間前にサクレ・クールで、さめっこさんのぶんと2ユーロ払ってロウソクを燈し、「さめっこさんが無事に日本に帰れますように」とお祈りしたばかりなのに…。
ていうか、アホかー! 人の心配より、まず自分の心配じゃ!!
ちなみにさめっこさんは、「宝くじが当たりますように」とお願いしていた。
夜、ベッドに入ると、すごく疲れ果ててるのに、なんだか怖くて眠れない。
プチホテルなだけに、上や下や隣りの音がよく聞こえる。
うぅぅ、平和ボケしてる日本人のわたしたちには、こんなプチホテルより、もっとセキュリテの万全な近代的なホテルのほうがよかったんだ…などと後悔する。
そして急激にストレスがかかったためか、幻聴幻覚が大復活。
ウトウトしかけた頃に、突然ガタン! と窓が開く音がした。
暗くてよく見えないが、窓の前にフランス人の男が立っている。赤茶色の髪をして、茶色っぽい服を着ている男だ。
怖くて怖くて、でも動けなくて、心臓がバクバク言う。
隣りのベッドでは、さめっこさんも気づいたのか、上半身を起こして何やらモゾモゾやっている。
こわいこわいこわいこわい。
そんな恐怖と戦いながら、眠ったのか眠ってないのか、いつのまにか朝になっていて、さめっこさんに起こされた。
眠い。疲れがちっとも取れず、ロレツが回らないほど眠い。
さめっこさんに昨晩のことを聞くと、寝ぼけてモゾモゾやってたらしい。
そうよね、やっぱ気のせいよね…。
そしてやっと、長い長い一日が明けた。
自分が被害に遭うとしたら、スリだとばかり思っていた。
だからいつも気をつけてはいたんだけど、あんな力技で来られたら、どうしようもないですがな。
でも、わたしのように素晴らしい運動神経と、とっさの語学力(大いに過大評価込み)に自信のない方には、抵抗することはお勧めしません。
素直に盗られて、さっさと差し押さえなどの手続きをしましょう。現金やバッグなどは間違いなく返ってきませんが、安全料と勉強料だと思って、諦めましょう。
わたしも運良く冬で、厚手のコートやパンツ、ブーツだったおかげで最小の被害ですんだけど、夏だったらもっと大怪我してたね。
現金17ユーロのために怪我するなんて、バカらしいす。
これが運悪く夏で、薄着で、犯人が凶暴で放してくんなかったら、大怪我な上に金品まで盗られて、死んでも死にきれません。
では、次からは、やっと翌日のお話。
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