mercredi 21 décembre 2005 11:20
悪夢の2日間~第一夜 長い長い夜・警察署編~
catégorie: 12月のおパリ
警察署へと向かう車の中で、女の刑事さんが運転し、男の刑事さんがさらに詳しく質問してくる。
彼の言葉がどうにも聞き取れないでいると、「ゆっくりでいいから、説明して」と言われた。
すっかり頭が働かなくなってるので、「男が、バイクの男が、後ろから来て、突然、こう、こう(ショルダーを引っ張られる仕草)」と言うのが精一杯だった。
彼の言葉がどうにも聞き取れないでいると、「ゆっくりでいいから、説明して」と言われた。
すっかり頭が働かなくなってるので、「男が、バイクの男が、後ろから来て、突然、こう、こう(ショルダーを引っ張られる仕草)」と言うのが精一杯だった。
警察署へ着くと、椅子に座って待ちなさいと言われた。
男の刑事さんが何人か尋ねてくるので、日本人だと答えると、日本語のパンフレットのようなものを持ってきて、「被害届を作成するから、これに記入しといて」と言われた。
見るとそれは日本大使館が作成したパンフレットで、表にはフランス滞在の注意事項、裏は日本語で被害状況の質問が書かれたマークシートになっていた。
わたしとさめっこさんは記憶が混乱していて、男のバイクとメットの色があやふやだったので、紳士服店のお兄さんが書いてくれたメモを参考にチェックしていった。
赤いバイク、黒いフルフェイスのメット、痩せ型、若いアラブ人の男…。
口で説明するのは今は無理だと思ったので、質問欄の空白に、「頑張ってバッグを抱えたので、何も盗られませんでした」と書いておいた。
そして待つこと数十分…。
途中、車を運転していた女の刑事さんは、リュックをしょって警察署を出て行った。
時計を見ると20時。さ、さては上がったな! 被害者待たせてるくせに、時間になったらきっちり帰るなんて…なんて自分に正直なんだ、フランス人!
取調室らしき部屋では、わたしたちの前に家族連れが入っていて、何やら時間がかかっている。
疲れた…今日はもう、本当に疲れた…。
自販機のコーヒー(0.40ユーロ。安い)を飲んで、ぐったりする2人。
その目の前を横切って、取調べをしていた黒人の女性警察官が去ってゆく。
あ、あれ、わたしたちは? 待ってろって言ったじゃん!!
結局彼女は戻ってこなく、すでに警察に着いてから1時間ほど経過した頃、ヒステリックな感じの女性刑事がやって来た。
わたしたちを部屋へと入れ、わたしは彼女にパンフレットを渡す。
彼女もまた早口で、ちっとも聞き取れない。しかも同じことを聞かれる。さっきも言ったし、パンフにも書いてあるだろがー!
そしてわたしが聞き取れずにもごもご言ってると、苛立ったような顔をする。あぁ、早く帰りたいんだねぇ…。
彼女はその場でPCに打ち込んでいき、被害届を作成して、6枚もある控えをくれた。
その控えには、やたらと叙事的に被害状況が綴られていた。
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罪状:ひったくり(未遂)
被害者:マドモアゼル タニグチ・メグミ(オレ、マドモアゼルじゃねーぞ! 指輪見ろ!!)
住所:Tockyo, Japon(トッキョー??)
「その日、わたしはパリ市2区のオペラ大通りを、友達と散歩していました(散歩!?)。
その瞬間、バイクの男が後ろから近づいてきて、わたしのバッグを奪って引っ張ったのです。
しかし! 彼はわたしからひったくることはできませんでした。
なぜなら、わたしはバッグをしっかり両腕に抱え、ショルダーを肩に巻きつけていたからです。
その男は逃げるしかありませんでした。
犯人は黒いフルフェイスのヘルメットをかぶった男、アフリカ系(アラブ人だっつっただろ!)、はっきりとは覚えてませんが、リヴォリの方へ逃げていきました」
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見事に間違いだらけ。いい加減にもほどがあるな。
そして、「じゃ、気をつけて帰りなさい」と言われて終わり。
え、病院は?
右手を見せて、「手当てしたいんすけど」と言うと、そんくらいへーき、みたいな感じであっさり帰らされた。
確かに大した傷じゃないけどさぁ! つうか、せめてホテルまで送ってくれてもいーだろー!
あんなことがあった後に、こんな時間(すでに21時)に歩いて帰すなんて、日本じゃありえない…あぁ、でもそんなことをフランス人に期待するほうが間違ってるんだよね…わかってたけどさ…。
警察署を出ると、車で連れてこられたので、すっかり道がわからない。
ちくしょー! フランス警察め!! 帰りに何かあったら訴えてやる! 国際問題にしてやる!!
そう息巻いて早足で大通りに出て、タクシーを捕まえてホテルへ帰った。
しかし、この夜はまだ終わらない…。
つづく
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