mercredi 21 décembre 2005 10:17
悪夢の2日間~第一夜 L'hopital Americain編~
catégorie: 12月のおパリ
その日、わたしたちは1週間近くを過ごしたアパルトマンを後にし、オペラ座近辺のホテルへと引っ越しをする予定だった。
わたしと正反対で朝型人間のさめっこさんが、くるくる小気味よく働いてくれたおかげで時間ができ、さめっこさんの念願のリュクサンブール公園まで歩いて散歩に行った。
夏のリュクサンブールは花がいっぱいでとてもきれいだけど、冬の枯木立な感じも、なかなか悪くない。
お天気はとてもよくて、耳が取れそうなくらい寒いけど、すがすがしくてほんとに気持ちいい。
太極拳をする人や、

噴水周りを走らされる小学生たち(徐々にみんな横っ腹をおさえたり、サボったりしてました)。

とにかく空が高くてきれい!

飛行機雲がその中を進んでいった。
ところで、フランス人はよく平日の昼間から遊んでるんだけど、いつ働いてるんだろう。
太極拳の他にもテニスしてたりジョギングしてる人もいっぱいいたけど、この時点ですでに11時くらいだよ?
日本人ならもうあくせく働いてる時間よね。
まさかみんな失業者か!?
さて、いよいよお引っ越し。
最後にありえないくらい狭いエレベーターを記念撮影。


スーツケースを持っていたら、当然一人しか乗れません。
楽しかったサンジェルマンの街に別れを告げ、タクシーでホテルまで。
チェックインまで時間があったのでスーツケースだけ預け、お昼は恒例の「ひぐま」へ。
ずっと「カツ丼食いたい」と言い続けていたさめっこさん、何を血迷ったかメニューを見ると天丼に浮気。
んじゃーわしがカツ丼食うか、と両方頼む。


しかしさめっこさん、「やっぱりカツ丼のほうがおいしそう…」。
どこかで聞いたセリフだ。そうだ、うちのだんなさんがいつも人のものを欲しがるときの言葉だ。
いろんなところで接点のある2人だな…。
基本的にダメダメな2人の旅は、ここまでは意外なほどに順調だった。
しかしここから、ハプニングが足音を忍ばせて近づいてきたのだ。
「ひぐま」を出ると、わたしの顔に巣食っている病を治すため、保険会社が手続きをしてくれた病院へと向かう。
日本人の医師にキャッシュレスで診てもらうのだ。
場所をオフィシャルサイトで調べたら、Porte Maillotから北へ歩いたところだった。
そしてPorte Maillotへ。郊外の街らしい、無機質な大きな建物も多い。
シャルル・ド・ゴール・エトワールの凱旋門と、真逆にデファンスの新凱旋門がいっぺんに見える。
フランスの道は基本的にはわかりやすい。
建物に通りの名前と番地が書いてあるので、それを見ながら進めばいい。
病院は、Victor Hugo通りだった。さすがにこんな郊外の街の地図はガイドブックには載ってないので、あちこちにあるバス停の看板の地図を見ながら進む。
ここでハプニングⅠ発生。
すっかりパリ市内の感覚に慣れていたので、歩いて行ける距離だと思っていた。
でもここは郊外。一つの道がだだっ広く、長く、目印になるものも大してない。
というわけで、3組のフランス人に道を尋ねながら行くことになった。
【1.年配のご夫婦】
お年寄りになってもカップルでお出かけすることが多いフランス。
まずは典型的な初老のご夫婦に尋ねてみた。
すると、「歩けないこともないけど、遠いわよ! すごく遠いわよ!」と身振り手振りで熱情的に話すマダム。
その合間にムッシューが「いや、」とか、「でも、」とか、冷静に突っ込む感じ。
こういうのは、どこの国も変わらんなぁと思う。
そしてどうやら、まったく反対の方角に来ていることが判明。
進路を変えた。
【2.耳の聞こえないおじいさん】
大通りが橋にぶつかっているところで、どっちに行っていいかわからなくなった。
そこへ橋を渡ってきた、スポーティな装いのムッシューに尋ねてみる。
すると、耳が聞こえないから書いて、と言う。
さめっこさんがノートを出し、わたしが書いていく。
わたしが書いているのを見ながらおじいさんは、「パーフェクトだ、一つも間違いはないよ」と褒めてくれた。
そして病院までの地図を描いてくれ、「簡単さ! 若いから歩ける歩ける!」と言われた。さらに、「私立だから高いよ」とも言われた。
キャッシュレスなので「問題ないよ(pas de problem)」とわたしが書くと、「最後のeが抜けてるよ」と直された。くそ、日本の英語教育め…。
「どうもご親切に」と言うと、「フランスでは当然のことさ!」とご機嫌なおじいさん。
途中まで一緒に歩きながら、いろいろ話してくれた。
息子さんが香港にいて、中国人の方と結婚したそうで、3ヵ月後にはベベが生まれるらしい。
中国人を説明するのに、おじいさんは目を斜めに引っ張った。
フランス人の中の中国人のイメージって、つり目なのか…。
わたしたちが延々とまっすぐ歩く道の途中で、おじいさんは右に曲がっていった。
「バイバーイ!」と笑顔で、元気よく。
リュックにペットボトルの水さして、あれからどこに行ったのかな。
たった数分だったけど、とても心温まる出会いだった。
【3.お上品そうなマダム2人組】
おじいさんが教えてくれたとおり、市庁舎(写真撮る暇なかったけど、すごくステキに飾り付けられてました)まで来たはいいものの、どうやってもVictor Hugo通りにぶつからない。
すでに予約の時間からは1時間以上過ぎていた。もうぐったり。
そこに、信号待ちをしながら熱烈なbisou(ほっぺにチュッチュ)をしているマダム2人がいた。
邪魔しちゃ悪いかしらと思いつつ話しかける。
すると、バスに乗ったほうがいいと言う。ここまで歩いたのにさらにバス!?
「歩いても行けるけど、バスなら目の前に着くから」と優しく教えてくださった。
バス…バスか…ここ、zone3だよなぁ(要は定期が使えないってこと)…!
よく考えたら、交通費も保険でおりるんだった!
うわーだったらさっさとメトロからタクシー乗っときゃよかった!
というわけで近くのバス停から乗車、さめっこさんが乗りたいと言ってたバスが、こんなとこで実現。しかしすでにはしゃぐ気力もなく…。
バスは、まさに病院の目の前で停まった。

おじいさん、わしらこんなとこまで歩けるほど、もう若くなかったよ…。
予約の時間はすっかり過ぎてたけど、すぐに診てもらえた。
「ヘルペスだと思うんですけど」と言うと、岡田医師は顔を見るなり、「あーそうですね」と即答だった。
耳の中を見られて、「ん、耳にはできてないから、脳には行かないと思いますよ」と言われた。
ののの脳!!??
過去に2回ほどヘルペスになったことあるけど、そんな恐ろしげなこと言われたのは初めてだ!
「5日間で治りますよ」と言われて抗ウィルス剤を処方してもらった。
薬の飲み合わせとかあるので、一応、主治医の診断書を見せると、「最近はどうですか?」と優しく聞いてくださった。
「元気です」と照れつつ(なぜ?)答えたけど、うぅぅ、異国の地で優しくしてもらえて泣きそうなったよ。なんだかすごくホッとしたよ。
この病院は一人一人の医師にオフィスがあって、その奥に診察室があった。
さすが金かかってるなーて感じ。
ちなみに、当然診察台は高い(足届かなかった)。
キャッシュレスなので面倒なこと一切なし、保険の味を覚えたので、そこからタクってシャルル・ド・ゴール・エトワールまで。
しかし、すでに2人ともぐったり…でも、これからさめっこさんの希望で、モンマルトルに行くのだ。
つづく
Commentaires
でも中国人だろうなーて思うと、だいたいそうだったりする。
似てるようで、何か違う。