samedi 14 mai 2005 02:05
「 君は小宇宙を感じたか?」みたいな話ではありませんが
catégorie: 万年思春期的思想

幸せなときは不思議な力に守られてるとも気づかずに
とは、わたしの人生の師匠、兄、父、神、悪魔が言った言葉だけれども、
さすがよくわかってらっしゃる。
街ですれ違う、もしくはわたしの周りでも、
今まさにその幸せに包まれいてる人々を見ると、
きらきらと光を反射させる大きな薄透明の球体の中にいるように思える。
それはとっても美しくて、暖かくて、肌触りのよいもののようだ。
しかしそれをうたかたにするか、レンガのお家にするかは、
不思議な力の効力を感じた上で、さらにひと手間が必要なのだと思う。
その球体の中にいるときはここが宇宙の中心、
中心に球体が君臨しているのではない、こここそが中心なのだ。
周囲に浮かぶ星たちを眺め同盟を組みながらも、
その中心への介入は何人たりとも許されない。
惑星同盟群は自らの体を輝かせ、
きらきら(お幸せに!)きらきら(ずっと仲良くね!)と、讃え歌う。
わたしたちも、初めはその宇宙の中心からのスタートだったように思う。
何か大きな力が、不思議な力が作用した点については、
今思っても揺るぎないものだとは思うのだけれど。
最初はゆっくりと、お互いの匂いを嗅ぎ取る野生の動物のように、
それからおずおずと、距離を測りながら近づいて行って、手をつないだ瞬間。
視界をさえぎるほどに光をはね返す、大きな柔らかな球体に包まれた。
しかしあまりにも光がまぶしすぎて、わたしたちの目は開いていても、
外の景色は一枚も二枚もくぐもったガラスを通したように、不透明なものだった。
その不透明な景色を、そういう形のものなのだと認識していた。
だから外には出ない。警戒する。介入は断固許さない。
特にわたしは、自分の血に流れるものも否定した。
わたしたちはその大きな球体の中で、宇宙の中心で、
まるで双子のように何から何まで同じ動きをし、何から何まで一緒に行動した。
その行為を後押ししたのは瞬間的な愛情の深さと、
わたしの弱さがあったことは否めない。
けれど一年時を経、二年時を経、
わたしたちは徐々にその球体を頑丈なものにするべく、内側から強化した。
それは意識的なものに加えて、素知らぬ顔をした努力も大いにあったように思う。
それから少しずつ外の様子を伺って、時には球体に小さな扉を作って、
同盟惑星群を中へ迎え入れることもするようになった。
その中には急進的な流星群があったり、
でこぼことした隕石がわたしのこめかみに墜落したときは、
もう二度と扉は開けまいと思ったこともあった。
でも強化作戦は知らずのうちに成功へと向かっているようだった。
美しくて、暖かくて、肌触りがよくて、お互いの匂い、
どこかで知った匂いのする大きな球体は、
だんだんと強度を増し、その体を膨らませていった。
目一杯まで膨らみきったところで(それがどこだったのかは自分たちも未確認のまま)、
音も立てない(宇宙の中だから立つはずもない)神のさらなる一撃、
その第二波に遭った。
球体は、分裂した。
わたしたちは今ではお互いの球体の中心に位置し、
その球体の大きさは青いほうが少しばかり大きくて、でも緩やかな灯り、
赤いほうが少しばかり小さくて、でも強くまっすぐ宇宙を照らす。
個々に分かれた球体はお互いに背を向けて廻る。
けれど回るのは同じ軌道線上、同じ軌道傾斜角で廻る。
背を向けていてもある一定の周期で相見える。
そのたびに新しい挨拶をする。
赤いほうの球体を内側から小さく叩く。
トントン、今日も異常なし。強度はさらにアップ、感度も良好。
わたしたちは、やはり宇宙の点でしかなかった。
だけどわたしたちは、わたしたちそれぞれが宇宙の中心。
神の一撃を何波受けようともわたしたちは個々で存在し、
分裂を繰り返し、数を増やしてゆく。
そして何度も出逢い、夜を作るためには共に目を閉じる。
Commentaires
はやく『球体同士』になって見たいと焦がれたりもするけれど、焦るのも勿体ないではないか、と思ったり。
素敵なつぶやきを堪能しました。
恋しくて。。
あなた詩人だわ
時間は嫌でも経っていって、いつの間にか自分たちが宇宙の中心ではなかったことを思い知らされてます。
だけど球体の中にいる時間ていうのは必ず訪れて、その間は自分たちが宇宙の中心にいることの喜びを、
悦びを大いに堪能していいし、するべきなのだと思います。
外の景色への不安を感じる暇もないほどに。
でもそれも全て、後になってからじわじわと気づいていくことなんですよね。
現実は生々しくて痛むもののようです。
って! 幸せいっぱい夢いっぱいの人になんてこと言ってんだ…! すんません!
今は外野の声は聞かなくていいですよ!
>さとちゃん
フフフ、客引き作戦成功ね!
誰かは反応してくれると思った。
詩人なんかじゃねぇす。
出鱈目書くのが得意なだけです。